Exhibition

　Contemporary HEISでは、90年代よりアメリカ ・シアトルを主な拠点に、インスタレーション・彫刻・映像・パフォーマンスなど多岐にわたる表現で作品を創作し続ける市川江津子の個展を開催いたします。
本展では、幅広い創作活動の中でも市川のシグネチャーシリーズである、溶解したガラスを絵筆のように使い、灼熱の軌跡を描く市川が独自に確立した技法「Glass Pyrograph（ガラス焼画）」で描かれた作品にクローズアップします。　
国内では22年ぶりに市川作品に触れる貴重な機会となります。ぜひこの機会に、作家自身が「ビジュアル・ポエトリー（視覚的な詩）」と表現する作品群をご高覧ください。



Glass Pyrograph
— グラスパイログラフ・ガラス焼画 —
とろとろに溶けたガラスを絵筆にみたて、炎で描く

火と関わることは
とても根源的な行為であり
火の力で創り出すことは
とても身の引き締まる生業です

炎で描くプロセスは　一瞬
直感と体感がひとつになると
素直で力のある作品が生まれます
迷いがあれば
それが形になって現れます

グラスパイログラフは
私自身の写し鏡であり
まったく嘘の入り込む隙間のない表現です

厳しくも本能的なこのプロセスは
私にとって喜びであり
自分がどこまでも自分らしくいられる
瞬間の連なりです

このような創造の世界に生きていられることは
本当に幸せなことです
そして 生まれ故郷の東京で個展を開けること
その機会をくださったすべての方に
心より感謝いたします

市川江津子
2025年秋
東京にて